2013年8月25日日曜日

『終戦のエンペラー』(EMPEROR)  先の戦争をおもっての雑記

あの戦争やあの時代を描いた映画を必ずみるというわけではない。
でも観たら、考える。映画のことだけではなく、色んな事を。
今回は、その雑記にすぎないがご容赦いただきたい。

日本は、敗戦国としてものすごく幸運な国だった。
戦争を続ける力がもう残っていなかったこと。占領統治をアメリカが行ったこと。最高司令官が野心丸出しのマッカーサーだったこと。共産主義への警戒心が強かったこと。
でも映画の中で何度も語られていたとおり、天皇制が残ったことが、ずば抜けて大きい。
劇中フェラーズが話したとおり、昭和天皇が逮捕・処刑されていたら、復興は遠のいたに違いない。
戦争に負け、価値観がズタズタになった日本で、もし天皇まで否定されたら、玉音放送を聞いて文字通り「堪へ難きを堪ヘ忍び難きを忍び」降伏した人たちは、何をよすがに占領下を受け入れればよかったのだろう。

天皇制が残った影に、フェラーズという無名の男がいたという。
映画をみてパンフレットを読んで、家に帰ってからもいろいろ調べた。本も買おうかと思っている。
調べてみればもちろん、映画のようにフェラーズがすべて自分一人でがんばったわけではない。
だけど、フェラーズ、という、聞きなれない名前がきっかけで、私のようにあれこれ学び出す人間だっているわけだ。
この手の映画はなんでもそうだが、映画をうのみにせず、自分で調べて考えるきっかけにするべきだ。

私の父は昭和7年生まれで、戦後、台湾からの日本に引き揚げてきた。
そんな父は、子供の私に『西部戦線異状なし』を見せ、強制的に広島の原爆ドームと資料館に連れて行くような人である。私が大人になってからは、日本に引き揚げて見た焼けて何もなくなった町のことや彼自身の価値観が大きく崩れた話を何度も聞いた。
この映画に出てくる焼け野原となった東京の姿に、父の話がかぶる。
そんな彼はいつも言う。
「終戦じゃない。敗戦だ。終戦なんて言ってごまかすから、いろんなことを間違える」
自虐史観でもなんでもない。負けたのは事実だ。
先の戦争について思うとき、いつもそのシンプルなことを腹にすえてから始めている。


↑宇宙人ジョーンズはマッカーサーに全然似てない。
でもこのシーンの前、飛行機の中でのやり取りは好きだ。
まさしく、彼をみて日本は「アメリカ人の男ぶり」にヤラレたわけだから。

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